東急不動産は、2014年の再エネ事業への参入以降、全国で再エネ発電所開発を進めており、これまでに開発中事業を含め全国99件、定格容量1,710MWの事業に携わってきた。同社は不動産業で初のRE100加盟を宣言し、2022年にはオフィスビル・商業施設など対象となる全244施設を100%再エネに切替えるなど、RE100の達成に向け動きを加速させている。
一方アイ・グリッド・ソリューションズは、子会社である株式会社VPP Japanを通じ、流通小売・物流等の企業向けを中心に、施設屋根上に初期費用なしで太陽光発電所を導入するオンサイトPPA事業をいち早く手がけており、国内748施設171MWと国内首位のオンサイトPPAモデル導入実績を誇るなど、VPP実現に向けて業界を牽引してきた。
特に近年では、環境負荷・国民負担・追加性の3つの観点から、オンサイトPPA及びVPPの早期普及の重要性が更に高まっている。商業施設の屋根はPPAサービスの対象として多大なポテンシャルを有し、アイ・グリッド・ソリューションズのAI屋根データベースの試算によれば、商業施設の屋根全ての総年間発電量ポテンシャルは約200億kWhと推定されている。
連携イメージ図(出典 アイ・グリッド・ソリューションズ)
国内トップのオンサイトPPA導入実績を誇るアイ・グリッド・ソリューションズと、国内トップレベルの再エネアセットを保有する東急不動産は2023年11月28日、新会社「TLC VPP 合同会社」を共同出資で設立した。同社は、建物構造NGなどの設置不可施設、資金調達や金融機関の投資条件といったこれまでの課題を解決、追加性のある再エネ普及の加速的な実現を目指し、今後3年間で計100MW以上のオンサイトPPA発電所の共同開発を目標に掲げている。これは、今までアイ・グリッド・ソリューションズが開発を続けてきたほぼ同規模のオンサイトPPA施設と比べ、倍のスピードで達成させることになる。第一弾として、2023年内に山口県や石川県の物流施設などでオンサイトPPAを開始する方針。
「GX City」構想(出典 アイ・グリッド・ソリューションズ)
アイ・グリッド・ソリューションズの掲げる「GX City」構想では、太陽光と蓄電池を組み合わせたレジリエンス向上や、地域企業で生み出された余剰再エネの活用など、持続可能で自立自走した街づくりを目指しており、今回の会社設立はその実現に向けた具体策と位置づけられる。