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【実証実験③】フィルム型ペロブスカイト太陽電池の特性を活かし、タンク壁面へ設置
2024.08.21

太陽電池市場において復権を目指す日本の旗頭となっているペロブスカイト太陽電池。実用化に向けて積極的な動きを見せている積水化学は、独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を活かし、フィルム型ペロブスカイト太陽電池開発の肝といわれる屋外耐久性において10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築している。さらに、同製造プロセスによる発電効率15.0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功しており、さらなる耐久性や発電効率の向上、1m幅の製造技術の確立に向けて開発を加速させている。
 その積水化学が、コスモ石油、朝日エティックが、フィルム型ペロブスカイト太陽電池をサービスステーション屋根および事業所のタンク壁面に設置するための共同実証実験を2024年7月18日から開始した。場所は、コスモ石油中央研究所(埼玉県幸手市)、および朝日エティック東京工場(埼玉県加須市)だ。

CAP=実証実験の様子(タンク壁面)

本実証の背景・目的を解説

 2050年カーボンニュートラルに向けて再生可能エネルギーの導入拡大が求められており、太陽光発電はその主力電源とされている。しかし、日本は平地面積が少なく従来のシリコン系太陽電池では適地が限られることが課題。一方、フィルム型ペロブスカイト太陽電池には、軽量で柔軟という特徴があり、従来設置が難しかった場所に適用できる可能性が増すことから、再エネ導入量を拡大できる有力な選択肢として期待されている。
 今回の実証実験は、積水化学が製造するフィルム型ペロブスカイト太陽電池を、朝日エティックの設置・施工技術を用いて、コスモエネルギーグループが運営するサービスステーション屋根や事業所のタンク壁面等へ設置することを検証するため、取り組む。また、実験結果を用いて、全国の耐荷重が少ない屋根や垂直曲面設備等へも展開することで、ペロブスカイト太陽電池を用いた再エネの導入の拡大とカーボンニュートラルへの貢献を目指したいとしている。